三色のアイスクリームとたっぷりの生クリーム。彩り豊かに盛られたフルーツに、ポッキーとウエハース。小さなケーキとプリンまでのっかっている。初見の俺はそのビッグサイズに目を丸くしたが、八戒は取り分け用の小皿をさっさと俺の前に差し出し、「いただきましょうか」と言った。
「三蔵、チェリー食べます?」
「……でけえな」
「デカ盛りパフェですから。カップルやグループでわいわい食べるんですよ」
それを男二人で食べようという八戒の心理はよく解らないが、まあ確かに一人でこの量は厳しいだろう。レストランの喫煙席。八戒は既に柄の長いスプーンを手に取り、チョコレートソースのかかった生クリームを掬っている。
「まあ誰でも良かったんですけど。悟浄は甘いの食べないですし、悟空だと僕の食べる分がないので。消去法で三蔵にしました」
「……てめえな」
言い返す気にもならず、俺はコーヒーを啜った。実際「パフェ食べませんか。奢るんで」と誘われて、のこのこついてきた経緯もある。
「三蔵。早く食べないとアイス溶けちゃいますよ」
「……よく食うのか、こういうのは」
「よく、というか。以前花喃と食べたことがありまして」
八戒がウエハースの端でバニラアイスを掬った。
「その時食べた奴は味が単調で、後半がかなり辛かったんですよね。でもこのパフェは下の層にもちゃんとアイスとバナナが入ってますし、こことかベリーソースですよね、ちゃんと最後まで美味しく食べられるように考えてあってポイント高いですよ」
アイスクリームがバニラチョコストロベリーと揃ってるのも心憎いですね、と八戒は付け足す。
「……俺は苺より抹茶の方がいいが」
「抹茶かあ。和風だったら抹茶もいいですね。あんことか白玉とか栗とか」
喋りながらも、八戒は休まずに手を動かしている。俺はようやくスプーンを手に取り、チョコアイスとバナナの辺りを一緒に口に運んだ。プリンと生クリーム。コーンフレークとバニラアイス。縁に刺さったメロン。
「……美味えな」
「本当に。フルーツも美味しいし」
一度食べ始めると何故か止まらず、俺たちは調子よくスプーンを動かした。
「もう食べられなくなったら言って下さいね。僕多分イケるんで」
「俺を誰だと思ってやがる」
「……何でちょっと燃えちゃってるんですか」
結構幸せそうに、八戒が笑った。