【おねがいキスして10題(1)】 お題配布元:確かに恋だった

01.あなたからキスして


 はじめて三蔵としたセックスを、よく覚えている。俺は三蔵のことがずっと好きで、念願叶ってのことだったから、それはもう最高の思い出だったんだけど、後から三蔵に訊いてみると「アレは最悪だった」らしい。痛いし苦しいし長いし最悪だったと。
 正常位の時、三蔵は横を向くか、目を閉じている。終始仏頂面で、時折眉間に皺を寄せる。イイのか悪いのか、むしろ苦痛なのか。俺には本当のところは解らないから、結局自分の欲に任せて腰を振ってしまう。
「……三蔵」
 三蔵の瞼が、ゆっくりと持ち上がる。必要な箇所だけで繋がる俺たち。抱き締めてもいいんだろうかとか、そんな可愛らしい葛藤を、この俺様坊主は知る由もないんだろう。
 俺のこと好き? なんて。
 セックス中に訊くことじゃねえよな。
「……キスしていい?」
 三蔵は眉を上げ、案外あっさりと俺の唇を奪ってみせた。両腕を使って、俺の頭を抱き寄せて。
「腰が留守だぞ」
 相変わらずの仏頂面だ。だけど俺はそんなんでちょっとテンション上がっちゃって、要するにこれが惚れた弱みっていう奴なんだと思う。
「……俺は挿れてるだけでもすげえ気持ちいいけどね?」
 開き直ってちょっと笑うと、三蔵は何も言わずに視線を外した。その腰の内部が搾り取るようにうねって、俺は呻く。
「っ、さんぞ」
「……そうだな」
 三蔵の声音があまりに穏やかだったので、都合のいい空耳かと思った。
 ちょっと信じられない気持ちで、俺は三蔵の横顔に唇を落とした。濡れた紫暗の瞳が、静かに俺を捕らえる。
「……痛かったら言ってくれていいからさ。もっとしていい?」
「……好きにしろ」
「……もっと、三蔵の奥まで欲しいんだけど、いい?」
「……いちいち訊くんじゃねえよ鬱陶しい。てめえは黙って腰振ってろ」
 言葉だけだと酷い言われようだが。
 もう俺はめげない。


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