【おねがいキスして10題(1)】 お題配布元:確かに恋だった

06.欲望だけのキスをして


 挿入してからも、こいつがあんまり真っ直ぐに俺を見上げるもんだから、俺の方も目を逸らす訳にいかなくなる。みつめ合いながら、腰を揺らした。悟空は小さく声を漏らしたが、そこまで感じ入っているようには見えなかった。
「……何つーカオしてんだてめえは」
 腰の動きを止めて、嘆息する。
「……血ィ、出てんじゃん……」
 悟空の伸ばした指先が、包帯の巻かれた肩に触れた。傷が開いて、血が滲んだんだろう。別におまえが不安がるようなことじゃない。
 その手を取って、情けないツラを見下ろしてやる。
「……随分余裕こくようになったじゃねえか」
 にやりと笑いながら言うと、悟空の顔が見る間に赤く染まった。何をどう思い出したのか、俺を包み込んでいた中がぎゅっと締まる。
「っ、ちがっ、それは三蔵が!」
「俺が何だ」
 はじめてこいつの何もかもを奪ってやったのは、旅に出てしばらく経ってからだった。実年齢はともかくこういうことにはまだまだガキで、それなりに無体を強いた自覚もある。
 悟空はもごもごと何度か言い淀んだ後で、顔を逸らした。
「……俺はっ、……三蔵がヤケっぽくなんのが、ヤなだけ……」
 吐いた溜め息が、妙に艶っぽい。やはり変わったのだと思う。あの頃とは、色々なことが。
「……別にヤケじゃねえよ。おまえとヤりてえだけだ」
 こんな素直な言葉も滑り落ちる。
「……おまえは嫌か」
「嫌な訳ねーじゃん……」
 眉を寄せて、何処か呆れたように、笑う。どうやら諦めたらしい悟空が、俺の背をやんわりと引き寄せた。
「あんま無茶すんなよな」
「……それはてめぇ次第だな」
「げ……」
 ムードのかけらもないリアクションを取りながら、悟空が唇を寄せてくる。絡まる舌から確かな欲の味を感じて、俺は性懲りも無く、悟空の最奥をねだった。


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