【1day1pict】 お題配布元:1day1pict

025.抱きつく


「……悪ぃ、……ちょっと付き合って」
 欲に濡れた、悟浄の瞳。きっと僕も今、こんな目をしている。
 悟浄の背に腕を回して、自分から彼に舌を絡めた。

 先に求めたのは、同居していた頃、僕からだった。雨に苛まれ、身勝手に一時の凌ぎを求めた僕を、悟浄は言葉もなく受け入れた。そんな夜が繰り返されても、悟浄は態度を一切変えず、同居人として、友人として、振る舞った。
 旅に出てからは、ベッドを共にすることはなくなった。強いてそうしたつもりはないが、三蔵と悟空の存在は大きかったように思う。僕らはもう、ふたりきりではなかった。悟浄がそのことについて触れてくることもなかった。自然消滅と言えばいいのか、これからは、シンプルな意味で友人として付き合ってゆくのだと思った。
 けれどある夜の二人部屋で、悟浄は僕をベッドに誘った。今日と同じ、「……なあ、ちょっと付き合ってよ」という文句で。正直驚いたというか、意外だった。同居していた頃は僕が彼にすがるばかりで、悟浄の方から僕を求めてきたことは一度としてなかったからだ。僕は悟浄の誘いを受け入れた。彼にしてもらったことを返したいと、思っていた。
 それから、おおよそ月に一回くらいのペースで、こんな時間が訪れる。求められれば、必ず応えた。それは悟浄がそうしてくれたからというだけではなく、僕自身が、いつしか待ち望んでいたからだった。
 夜を重ねる毎に、身体が悟浄に対して開かれてゆく。こんな汲めども尽きぬ欲望が、自分の中にあったなんて知らなかった。悟浄が求める以上に求めてしまうこともあった。そんな時、悟浄は笑ってくれる。こんな風に。
「……そんな締めんなよ。2ラウンド目入っちまうだろ」
 からかう風ではなく、どちらかというと困ったような口ぶりだ。僕は余韻に震える身体を隠さずに、悟浄を見上げた。
「……ダメですか?」
 悟浄はすっと目を細めた。
「……いや?全然」
 笑みを消した悟浄が、僕の唇を塞ぐ。悟浄の硬さを中で感じて、僕は喉の奥で喘いだ。馴染み慣らされた身体に、重く深い快楽が、あっという間に迫り上がってくる。
「あっ、ごじょ……」
「……なあ、八戒」
「っ、何ですか……?」
 悟浄の快感なんか度外視で、僕は彼にしがみつく。嬉しくて切なくて、もっともっと悟浄が欲しかった。
「……何でもね」
 やけに軽い口調で悟浄は言って、僕の身体を抱き竦めた。


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