「ごじょーってなんで髪の毛は赤いのにここの毛は黒いの?」
「……それは七不思議だからやめとけ」
なんだよそれ意味わかんねー、と言いつつ悟空が俺の下の毛を引っ張った。とりあえず頭をはたいておく。
安請け合いしたはいいものの面倒なガキだったらどうしようかと思ったが、悟空は人見知りもしないし、快活で素直だった。飯の量に関しても三蔵が「悟空の食費に充ててくれ」と言って置いていった金で何とかなりそうだ。
それにしても、天涯孤独の俺が、自分のでもねえガキと一緒に風呂に入る日が来ようとは。人生ってわかんねえ。
「なあなあごじょー、ごじょーは俺のとーちゃんじゃねえよな?」
「……あ?」
悟空は俺の脚の間で湯に浸かりながら、俺を見上げている。
「さんぞーが、さんぞーは俺のとーちゃんじゃないって言ってた。俺がまだ赤ちゃんの時に、かーちゃんがさんぞーに俺のこと頼んだんだって」
三蔵は今独身で、一人で悟空を育てているらしい。俺が聞いたのはそれだけだし、別にそれ以上聞く必要もないような気がした。
「……俺はとーちゃんじゃねえよ。悪ぃけど」
「なんだ、そっかー」
「……会いたいか? とーちゃんとかーちゃんに」
悟空はぱしゃぱしゃと水面を叩いた。
「さんぞーがいるからいい」
「……そか」
あの良くも悪くもおキレイだった三蔵サマにも、色々あったってことなんだろう。
俺は一つ息を吐いて、肩まで身を沈めた。
悟空は見慣れない風呂場で、楽しそうに遊んでいる。