「あー……ちょっと飲み過ぎたかもな。ごめん」
一生懸命な八戒に申し訳なくて俺は素直に謝ったが、八戒は「言う程飲んでなかったでしょう」とぽつりと言って、それきり黙り込んだ。
気まずい。
初夜である。八戒の手の中には俺の息子さんが握られていて、八戒はさっきまで吸ったり舐めたり扱いたり、それはもう情熱的な愛撫をしてくれていた。俺は勿論嬉しくて身を任せていたのだが、如何せん、どうも、勃ちが悪い。
「……すみません、僕、ヘタクソですよね」
俺の脚の間で、先っぽを撫でながら八戒が言う。
「んや? キモチイイぜ?」
「でも悟浄勃ってない」
「やーまあ、男だから調子悪い時もあるっつーか、下半身がついてこない時もあるっつーか」
「そうなんですか?」
真顔だ。てゆーかおまえも男だろ、と言いかけたが、もしかして本当に解らないんだろうか。今までそんなにうまくいってたのか。姉ちゃんと何発ヤったのか知らねえが。いやん八戒さんてば絶倫?
実際俺としては、勃たないことよりこの深刻な空気の方に戸惑っていたりする。こんなことで、なんて言い方をすると八戒は怒るかもしれないけど、でも本当に、こんなことで思い詰めたりしないでほしい。
股間を握られたままで、とりあえず上半身を起こす。そもそも俺たちがしようとしていた行為に、俺が勃つか勃たないかはあまり関係ないのだ。八戒の下半身に伸ばそうとした手を、一瞬早く八戒が取って、自分の股間に押し付けた。
「……すみませんが僕はギンギンなので。貴方の口に入れてもらったりしたらすぐ出ちゃいますよ」
言葉に違わず、俺が触れた箇所は服の上からでもはっきり解る程硬くなっている。至近距離で見返すと、八戒は視線を逸らして握りっぱなしの俺の息子を撫でた。
「……シたいのが、僕だけだったら嫌です」
なるほど。俺は何だか深く納得して、それから少し笑った。八戒が恨みがましい目で俺を見る。
「……挿れてよ、これ。一緒に気持ち良くなろーぜ?」
何しろハジメテなので気持ち良くなれる根拠があった訳じゃないが、別に俺はそれでも構わなかった。八戒だったら、いい。八戒はゆっくりと俺を押し倒すと、やっぱり大真面目な顔で、でも何処か熱の籠った目で、俺の唇を奪った。
そのうち八戒は、俺の都合なんかお構いなしに平気で股開いてくるような奴になるんだが、それはまた別の話だ。