【1day1pict】 お題配布元:1day1pict

361.立ちすくむ


 悟浄が僕の服の留め具を外してゆくのに、僕は、動くことが出来ずにいた。
「……もう、どっか行くのやめて」
 顰められた眉と熱っぽい眼差しから、目が逸らせない。紅い瞳の奥に滲む感情を追いながら、一言も聞き漏らしてはいけない気がして、息を詰めた。
「死なせねェから俺が。絶対」
 そう言って、悟浄は、そっと僕をベッドに押し倒した。
 言葉そのものにも心をつかまれるけれど、一方で、全くこの行為の説明にはなっていない。素肌に直接触れた悟浄の手ははっとする程熱く、媚薬に突き動かされているのは確かに思えた。でも、じゃあ、言葉は。
 首筋を柔く食まれて、荒っぽい吐息がかかる。悟浄がゆっくりと僕を産まれたままの姿へと導く間も、僕はなされるがままだった。このまま僕は悟浄に抱かれる。それが覆らない決定事項であるかのような、決然とした空気が、今の悟浄にはあった。
「……あー……っ!」
「……っ」
 絶対に無理だと思ったのに、僕の身体は、悟浄を受け入れていた。
 悟浄は痛みに堪えるような表情で、僕を見下ろしている。前戯を施す時も逐一僕の反応を見ては苦しそうな顔をしていて、けれど、その手を緩めることはなかった。
「……怖い?」
 悟浄に自嘲の笑みが浮かぶ。ドクリ、と内側で脈打つ存在を強く感じながら、僕は首を横に振った。
「……貴方を、怖いと思ったことなんか、ありません」
「……」
「っ、あっ!」
 苦しい、待って、とも言えずに、僕は押し出されるように喘ぎ続けた。
 悟浄のことが怖いんじゃない。僕が怖いのは、許容量のわからない自分自身だった。そしてそれを、目の前の優しい男に見透かされること。僕の逃げ道をなくすような真似は絶対にしない人だった。だからこそ、取り返しの付かない切実さが、全身から伝わってくる。
 食われるようなキスに必死に応えていると、悟浄が不意に、唇を離した。
「……このままっ……、飲んで、全部」
 僕の顔を見ることなく、耳元で、悟浄が囁く。
「……っ、……はい……」
 答えるや否や、悟浄の腰の動きが激しくなる。奥に突き立てられるのは物理的にやっぱり怖くて、悟浄にしがみつこうとしたら、先に悟浄が、僕の身体をキツく抱き締めた。
 やがて、悟浄が僕の中で射精しているのを感じた時、苦しくてたまらなかったはずなのに、僕は自ら脚を悟浄の腰に絡めていた。悟浄の腕の力が強くなる。硬いままの性器にまた内側から揺さぶられて、僕は素直に声をあげ、長い夜に身を委ねた。
 甘くて、酷くて、寂しくて、温かい。


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