はじめ、時任は酷く抵抗した。
嫌だって久保ちゃん。本当マジヤだ。やめろって。
でも抱いた。俺もいい加減限界だったし、時任が本気を出せば殺してでも俺を止められること、そして時任は俺を殺してはくれないんだろうってことを、解っていて手を這わせた。
二回目から時任は、抵抗しなくなった。俺が覆い被さると、何も言わず力を抜いてくれる。俺はあれこれと試みて、時任の反応をうかがった。少しは感じてくれているようにも見えた。
そんなことを重ねて、両手の指では足りなくなった頃、俺は時任を抱くのをやめた。
夜、先にベッドに入っていた時任の隣に滑り込む。起きているのは解っていたから、俺は躊躇なく時任を抱き寄せた。髪を撫で、腰を撫でる。緊張が手に取るように伝わってくる。俺は一度時任の匂いを吸い込むと、閉じ込めていた身体を解放した。
「おやすみ、時任」
何もしないので安心して下さい、の意味も込めて、俺は寝返りを打った。背中越しに、物言いたげな気配を感じる。静寂に響く、秒針の音。
「……久保ちゃん」
「……うん?」
俺は全霊で時任の言葉に耳を傾けた。最後のセックスから数週間が経ってる。もしかして、抱き締めただけで勃っちゃったのがバレただろうか。
「……俺は、別に、このままでも」
その先を聴く気にはなれなかった。
唇を塞いで、乗り上げて、シーツに縫い留める。膝を使って脚を割る。俺は時任を抱きたい。時任の中に出したい。
「……ごめんね?」
耳元で吐いた言葉が、我ながら懇願じみていて笑える。
時任は真っ直ぐに俺を睨み上げた。
「……しないんじゃねえのかよ」
「……そのつもりだったんだけどね」
俺は苦笑を滲ませたまま、恭しく時任の首筋を舐めた。俺という供物を、時任に捧げる為に。
「……久保ちゃんのバカヤロ」
呟いた時任の言葉は、低く、掠れていた。