テーブルの縁に指をかけた途端走った、鋭い痛み。思わず声を上げたら、食器を片付けていた悟能がすぐそばまで寄ってきた。
「どうしたの」
「棘が刺さったみたい」
「見せて」
左手の薬指の爪の間に、木の繊維が一本、ぷつりと入り込んでいる。悟能は私の手を掲げると、大真面目な顔でそのささくれを抜き取った。別にこんなの自分で取っても良かったのだけれど、一応私はありがとう、と言った。
「どういたしまして」
悟能が私の指先にキスをした。その上目遣いや唇の触れさせ方がキザったらしくて、何だかこっちが恥ずかしくなってしまう。
「……知らなかったわ」
「え?」
「そういうことも出来るのね。すごく意外」
すると悟能はあはは、と声を立てて笑った。
「君にしか出来ないよ」
「……悟能」
「うん?」
「デザートはまだ?」
「はいはい」
ちょっと待ってて、と言い残して、悟能の背中がキッチンへと消える。
私は左手をそっと握り締めた。