貴方の海に満ちる月


11.(2024/01/18)
悟浄総モテ現パロ、前回の続きで悟浄と三蔵。悟浄の部屋でふたりきりになったところで、悟浄が口を開きます。「……どーゆーつもり?」「……何がだ」「いや何がって、……ってオイッ!」悟浄の前にしゃがみ込んで、下半身脱がそうとしてくる三蔵。あっけらかんと三蔵が訊きます。「……ヤんねぇのか」「いや、ちょっと一回座れって」先にベッドに腰掛け、隣を促す悟浄。三蔵はいかにもつまらなそうに溜め息を吐き、悟浄の正面で仁王立ちになります。軽く口元を引き攣らせる悟浄。「聞けよ」「……言っとくが、俺は今更テメエのどうしようもねえ下半身を躾けようなんざ思わねえ。時間と労力の無駄だからな。……だが」悟浄を見下げる三蔵が、いきなり悟浄の髪を強い力で引っ張ります。「ってえッッ!!」「……首輪は見せねェと意味ねえだろうが」痛みで若干涙目になりつつ、間近で三蔵とみつめ合う悟浄。「……どっちかっつーと、おまえの首輪に見えたんじゃね?」「……大差ねえだろうが。俺もおまえも」「……」「……何だよ」「……いや?」髪を離し、また悟浄の足元に跪く三蔵。今度は悟浄も止めません。「……ヤりてー気分なの?」「……今頃ヤってると思われてんだろ」「……あー、まー、そーね」「ヤってると思われてんのにヤんねえのは癪だろうが」「……ちょっと悟浄サンわかんねーケド」悟浄の前を開き、しゃぶり始める三蔵。呆れと快感の入り交じった溜め息を吐きながら、悟浄は三蔵の金糸の髪を梳きます。「……それで?」悟浄を育てるのに熱心な三蔵は、ちらりと目を上げただけで答えません。構わず悟浄が訊きます。「……おまえ俺に人生くれる気だったの?……初耳なんデスけど」口を離し、勃ち上がったソレを指先でひと撫で。目を細めた後で、三蔵が自分の服を脱ぎ始めます。「……釘は刺しといた方がいいと思っただけだ。俺は別に俺のしたいようにしかしねえ。おまえも勝手にしろ」「……」真意を測るような悟浄の視線に、三蔵が不敵に笑います。「貴様は俺に惚れてんだろうが。……だったらココで馬鹿の一つ覚えみてえに腰振ってりゃいいんだよ」「……そんな誘い方ある?」苦笑いでツッコミを入れつつ、三蔵の腹を撫でる悟浄。アルコールで熱くなった身体を引き寄せて、唇を重ねます。悟浄の上に乗ろうとした三蔵を軽くいなして、ベッドの上に倒す悟浄。「……ゆっくりすっからさ。……トぶなよ」「……だから好きにしろって言ってんだろうが……」
この書き方で伝わってるかわかりませんが、このふたりは身体の相性がめっちゃイイです。結構そこのウエイトがデカかったりする、案外即物的な三蔵様。続く。
12.(2024/01/19)
悟浄総モテ現パロ、悟浄に対する気持ちを隠さなくなった悟空。普通にヤりたいアピールとかしてくる悟空に悟浄はちょっと困惑気味です。「……おまえもっと自分のこと大事にしろよ……」「えっ、悟浄に言われたくねーんだけど」「…ぐうの音も出ねェな」「三ちゃんちょっと黙っててくんない!?」珍しくマジの奴なので一応黙ってくれる三蔵。はあーっと溜め息を吐いて、悟浄がガシガシ頭を掻きます。「……俺みたいになってほしくねえって思っちまうんだから、仕方ねえだろ」「……なんねーって。俺悟浄みたいに優しくねえもん」「……おまえなあ……」呆れを通り越して言葉をなくす悟浄に、三蔵がぼそっと言います。「……コイツに関してはてめえも片棒担いでんだ。……諦めろ」言外に、三蔵が悟っていることを悟浄も察します。またも深々と溜め息を吐く悟浄。「……わぁーった。もう言わねえよ」「……ん。」「……おまえもーすんなよ、あーゆーコト」「え、何で?」「何でじゃねーだろバカ」「……悟空。一つ言っておく。悟浄とは寝るな」言葉だけ聞くと牽制ですが、どうもそういう雰囲気じゃありません。拝聴する姿勢の悟空に三蔵は言います。「確かにコイツは押せばヤれる。ヤれるだけじゃ意味ねえことはおまえもわかってんだろうが、俺が言ってんのはそういうことじゃねえ」淀みなく畳みかける三蔵。「コイツは都合のイイ男にしておくなら百点の男だ。ハタチそこそこの内からこんな便利なヤツと馴れ合ってみろ、普通の恋愛なんかめんどくさくてやってらんねえぞ」「……でも三蔵は付き合ってんじゃん?」「……俺はいーんだよ」「ええ〜っ、何だよそれっ!!」三蔵と悟空の独特な関係性を改めて目の当たりにしつつ、悟浄がぽつり。「……何かすげー言われようなんだけど、コレ俺怒ってイイ奴?」「黙っといた方がイイ奴じゃないですか?」八戒の的確な助言に従って、おとなしく黙る悟浄なのでした。
続く。
13.(2024/01/24)
悟浄総モテ現パロ、三蔵と八戒の話。三蔵に連れられて事務所にやってくる八戒。「……ここ三蔵の事務所なんですか?」「いや。養父の事務所で、俺は一応代理の体だ。『ちょっと旅に出ますんで、あと宜しくお願いします』だそうだ」「……それはまた」「あれこれ押しつけやがって、いー迷惑だ。……ま、いつものことだがな」諦めの溜め息を吐きつつ、三蔵がとある一室の扉を開けます。「おまえにはこの部屋の整理を頼みたい」「……えーと、コレは何の部屋なんですか?」「俺が聞きてェよ。見ての通り、仕事の資料も私物も依頼人からの貰い物もどこぞの民芸品も全部ぶち込んであって訳がわからねえ。正直何処から手ぇつけたらいいかわからんまま放置してたんだが、金払っておまえがやってくれるんだったら渡りに舟だ。日給で現金払い、進捗は確認するが別に期限は無ェ。悪い条件じゃねえだろ」「……ありがとうございます。やらせて下さい」「礼なら悟浄に言え」
何かまったり茶飲んでるふたり。「……探偵っていうと、浮気調査?とかしてるんですか?」「看板は探偵事務所だが、先代が見境無く依頼を受けてたせいで未だに便利屋みてえなのが多いな。大体コッチは探偵業のノウハウ自体ろくに教わってねえんだ。それでも『お父さんには大変お世話になって』と来るからな。面倒なモンだ」「……案外苦労性というか……」「喧嘩売ってんのか?」息を吐く三蔵。「俺はあの人とは違う。……器じゃねえんだよ」三蔵の言葉を受けて、微笑む八戒。「……ズルイなあ」「あ?」「……憎めない人ですよね、貴方って」顔を顰める三蔵に、笑みを深める八戒。決まりが悪そうに、三蔵が煙草を手に取ります。「……行くアテが無いと言ったな。それでノコノコ悟浄について来たのか」「……『来いよ』って、言われたんです。悟浄に」はああ〜っと特大溜め息を吐いて舌打ちする三蔵。「溜め息多いですね」「お陰様でな」「……悟浄って、いつもああなんですか」目を細めて、煙を吐き出す三蔵。「面倒事に首突っ込んで痛い目見たのは一度や二度じゃねえな。小器用で要領も悪くねェくせに、肝心なところで妙な情を出して他人の泥まで被る羽目になる」「……目に浮かびますね」「アイツ自身にうまく立ち回る気がねェんだよ。心のどっかでいつ野垂れ死んでもいいと思ってやがる。……救いようがねェ馬鹿だ」湯呑みを両手で包みながら、八戒が言います。「……好きなんですね。悟浄のこと」「まあ、具合がイイからな」「突然の下ネタ」「寝たきゃ寝りゃあいいが、運命の相手だとか思うのはやめておけ。勘違いだ」「……悟空には寝るなって言ってませんでした?」「……あいつが悟浄のセックスにどハマリするとことか見てらんねーんだよ」「……なるほど。……僕がそうなったら、貴方にとってはイイ気味といったところなんですか?」三蔵がフンと鼻を鳴らします。「……テメエもあのお人好しに沈められたんだろうが。足抜け出来るってンならコッチが聞きてェくらいだ」三蔵をじっとみつめる八戒。「……好きなんですね、悟浄のこと」「……悪ィか」「いえ。手強いなあ、と」「……しれっと奪う気になってんじゃねーよ」
はあ〜楽しい〜。続く!
14.(2024/01/26)
悟浄総モテ現パロ、悟浄と八戒のターン。「悟浄、買い物の荷物持ちお願いします。どうせ暇でしょう?」「……おまえがイイ性格になってくれて嬉しーわ……」
平日の晴れた夕方。スーパーの買い物袋を手に、帰路に就くふたり。「……この前、どうして僕のこと庇ったんですか?」「んー?」「……僕、グレーじゃなくて真っ黒ですよ。貴方が通報すれば鑑別所行きです」「……通報つってもな。俺別におまえの話聞いただけで、何か見た訳でもされた訳でもねえし、正直鵜呑みにしていいのかもわかんねーし」「……洗いざらい喋りました。本当ですよ。全部。」「ふーん」「……悟浄」「ナニ?」「……どうして僕を、ここに連れてきたんですか?」「……質問責めね、おまえ」ちょっと笑う悟浄。ガサガサと、夕飯の食材の入ったビニールの音を立てながら、家までの道を辿ります。「おまえ、あん時死ぬつもりだったんだろ?……人生捨てたってツラしてたもんな」「……」「……ま、道に落ちてたからよ。誰のモンて訳でもなさそーだったし、俺が拾ってもいいんじゃねえかってな」「……答えになってないですよ」「そうかあ?」捉えどころのない悟浄の笑顔を、みつめる八戒。「……正直に言うと、貴方のことを信用してついて行った訳じゃないんです」「……まあ、そりゃな」「別に貴方のことを怖い人だと思った訳でもないんですが……、性の対象になることは普通に覚悟してました。あるいはもっと手酷い目に遭うんだとしても、……貴方なら、別にいいような気がしたんです」「……良かったな。アブネー奴じゃなくってよ」「……三蔵と悟空に引き合わされた時はびっくりしましたよ」「ハハッ、確かにな」からっと笑いながら、前方の空を見る悟浄。「……あいつらさ、なーんかイイ奴だと思わねえ?……俺は結構、人生変わった」「……悟浄」「ま、ちっとめんどくせーけどな」猿は食い気ばっかかと思ってたらいっちょまえに色気出してきやがるし、三蔵なんて。愚痴とも照れ隠しともつかない悟浄の言葉を傍らに、八戒も前方の空を仰ぎます。「……こうしてると、すごく不思議な気分になるんです」「ん?」「……こんな風に太陽の下で、また日常を過ごす日が来るなんて思わなかった。僕にはその資格もありません。二度と現実に帰れなくなりそうで、怖くなるんです。本当はここに来てからずっと、……悪い夢を見ているみたいで……」「……じゃ、このまま逃げるか」カサリ。足を止めた八戒に気付いた悟浄が、数歩先で振り返って、八戒をみつめます。まるで、何でもないことみたいに。
続く。
15.(2024/01/31)
悟浄総モテ現パロ、前回の続き。「……悟浄、言っている意味が……」動揺のまま言葉を発する八戒に、悟浄が言います。「……おまえ一人で行かせたら、後悔する気がする。俺が。」全て見透かしたような悟浄の言葉に、胸を衝かれる八戒。余計なことを一切言わない悟浄に、八戒も余計な言葉を捨てて、尋ねます。「……さっき、人生変わった、って」そこではじめて、自嘲めいた笑みを浮かべる悟浄。「……まあな」何かを諦めたような、あるいは何かを望んでいるかのような、悟浄の笑顔。その笑顔の意味を、理屈じゃなく肌で感じ取ります。ほとんど混乱に近い葛藤の中で、思考を巡らせる八戒。逃げる。悟浄と。僕は逃げたいんだろうか?路上で立ち止まったまま、周囲の音が遠ざかって、ただ、目の前の悟浄の存在だけが世界になる。……そんなこと、出来る訳がない。逃げることなんて許されない。何より僕が、僕自身を、許したくない。「八戒」「……あ……」悟浄の呼びかけで、思考の渦から戻ってくる八戒。立ち止まったままだった脚を動かして、悟浄のシャツの裾を掴みます。声を震わせながら。「……帰りましょう、悟浄」
そして、帰宅したふたり。「おかえりー。あ、八戒、ゲーム何時頃出来る?」「……あ、そうですね……夕飯の後にしましょうか。悟空も片付け手伝ってもらえますか?」「おっけー。今日の夕飯何?」「餃子です」「やった!」食い気全開の悟空が自分の部屋に戻るのを横目に、キッチンまで買い物袋を運ぶ八戒と悟浄。「……つーか、餃子なら一応俺も作れるけど。どうせ暇だしよ。おまえ悟空とゲームしてくれば?」悟浄の気遣いに、内心で苦笑する八戒。「……いえ、冷蔵庫に残ってる食材も使いたいですし、僕が作った方が後々楽なので」「……あ、そお?」「でも、食べたいです、悟浄の餃子。……今度作って下さい」視線を交わすふたり。「……りょーかい」
悟浄をキッチンから追い出して、ひとり、シンクに手をつく八戒。床にへたりこみそうになるのを堪えます。……びっくりした。本当に。平静を装いながらも、まだ混乱の只中にいます。考えても考えても、悟浄の真意が八戒にはわかりません。……ここには三蔵と悟空がいて、悟浄の生活と人生がある。それを捨てる理由は、悟浄には無いはずだ。きっと僕の気持ちを試しただけ。本当に逃げるつもりなんかなかった。そうでないと辻褄が合わない。それなのに。……あの時の悟浄の笑顔が、頭から離れない。困惑に駆られながら、熱い溜め息を吐く八戒。……まだ心臓が、バクバクしてる。
餃子でフラグを立ててみる。続く!
16.(2024/02/08)
悟浄総モテ現パロ、夕食後。悟浄と八戒を眺め渡して、三蔵が言います。「おまえら、ヤったのか」思わず身を固くする八戒と、至って平静に煙草吸ってる悟浄。「いや、ヤってねーって。ガキ相手にセックスなんかスる訳ねェだろ」「……じゃあ、ヤってねえだけか」揃いも揃って黙っちゃう悟浄と八戒。「……マジ?」小声で呟いた悟空の横で、三蔵が忌々しげに舌打ちします。悟浄に悪びれた様子はありません。「……あー、まあ、そーゆー意味ならヤったかも?」「っ、悟浄」「……オシオキする?」口角を上げる悟浄を見据えながら、三蔵は淡々と言葉を投げます。「……何の意味も無ェだろ、そんなモン」「……」悟浄の表情は、不思議と穏やかです。「……ま、安心して。フられたからよ」目を見開く八戒。こちらを見た三蔵と目が合います。「……うぬぼれてたのか。ざまあねーな」「……まーね」落ちる沈黙。空気を振り払うように、悟浄が煙草を灰皿に押し付け、立ち上がります。「ま、そーゆーことだから」「……おい。カートンだ」「……へーへー」「あっ、悟浄俺も行く!腹減ったし」「おまえ今飯食ったばっかだろーが!?」「プリン食いてえ気分なんだよっ!八戒も何か要る?悟浄の奢りで」「……じゃあ……ハーゲンダッツクリスピーサンドの新しい味で」「オイ」
仲良くコンビニに向かった悟浄と悟空、そして残された三蔵と八戒。「……八戒」「……はい」「ヨかったみてえだな」いたたまれない心地で言葉を探す八戒に、三蔵が重ねます。「……俺は忠告したぞ」
続く!
17.(2024/02/17)
悟浄総モテ現パロ、悟浄と悟空。コンビニを出た帰り道です。「……ごじょー」「んー?」「俺は?」いかにも呆れたように、溜め息を吐いてみせる悟浄。「……俺とはヤんなって言われたろー?三蔵様のありがてェ忠告受けとけよ」「……」何の反応も返さずに、黙々と歩いている悟空。……あ。そーだった。目線をぐるっと回して、悟浄は上空を仰ぎます。いつものクセをしまいこんで、改めて自分の内側から言葉を探す悟浄。静かに、穏やかに、はっきりと。「……別にヤったって、俺はおまえのモンにはなんねえよ」「……そんなの、わかってる。けどさ」「ナニよ」「……八戒が良くて俺がダメなのって、俺が八戒よりガキだから?」「……そうじゃねえよ……」悟空は困る。本当に。悟空の真っ直ぐさに戸惑いながら、悟浄は胸の内を打ち明けます。「……アイツ、八戒見てるとさ。なーんか色々思い出すんだよ。別に忘れた訳じゃねえけど、わざわざ思い出しもしなかったよーなコト、色々。そしたら、とっくの昔にもう要らねーつって置いてきたモンが、……もしかしたら要る奴だったんじゃねえかって気がしてきてよ」神妙に耳を傾けていた悟空が、口を開きます。「……悟浄がずっと探してたのって、八戒だろ?……俺、ずっと見てたからわかる」「……悟空」「それに、八戒俺らに笑ってくれるけど、何か寂しそうにしてるからさ。悟浄はさびしー奴ほっとけねーんだよ。俺の時もそうだったじゃん」「……別に、そんなんじゃねーけど」「あ〜……ごじょー考えてやってねえもんな」「人を単細胞みたいに言うなっつの」悟浄の顔を覗き込む悟空。「……なあ、マジでフられちゃったの?八戒って悟浄のこと好きだと思うんだけど」「……まあ、別だろ。ソレとコレとは」「……ンなしょげんなってごじょお〜」「べっつにしょげてねーよっ!つかちょっと嬉しそうにすんなっ!」悟空の髪をぐしゃぐしゃと掻き回す悟浄。されるがままに撫でさせていた悟空が、下から悟浄を見上げます。「……ごじょー」「んー?」「……俺ならたぶん、悟浄抱けるよ?」あざとさと真摯さの入り混じった視線に、射抜かれる悟浄。嬉しいような怒りたいような何とも言えない複雑な表情をした後で、頭を撫でていた手を離し、悟空の背中を勢いよく叩きます。「ッ、めっっちゃイテエッッッ!」「……俺は抱くほーが好きなの。」
突然の95。あ〜悟浄と悟空めっちゃイイ〜。まあーあの性格だから抱く方が好きだろうなっていうのは、個人的な一個の解釈です。別に無理な訳でも嫌な訳でもないので、もし三蔵に「ヤらせろ」って言われたら「ん?どーぞ」って感じだと思う。まあこの話の三蔵に関しては言わないんですけど。という話は、また追々。
18.(2024/02/24)
悟浄総モテ現パロ、三蔵と八戒サイド。「……お茶、淹れますね」三蔵の視線を振り切るように、キッチンに立つ八戒。「……どうぞ」「……ああ」三蔵にお茶を出し、自分の方にも湯呑みを置いて、もう一度席に着きます。波立った心が落ち着いてきたところで、口を開く八戒。「三蔵、……すみませんでした」目を細めて、八戒を見る三蔵。「……アイツが謝らねえことを、何故おまえが謝る」「……僕が軽率でした。貴方が以前言った通りです。……僕は」目線を落としながら、薄く笑う八戒。「……あの人に、恋なんかしている場合じゃないんです」そんな八戒をみつめながら、三蔵は呟きます。「……胸糞悪ィな」「……え?」「……まあ、おまえがアイツの底無しっぷりに怖じ気づいて脱落してくれりゃ、俺は助かるがな」煙草を手に取る三蔵。「……先に言っておくが、気まずいから出て行こうとか妙なことは考えるなよ」言われた八戒の表情を見て、図星か、と三蔵が吐き捨てます。「アイツがあそこまで言うってことは、おまえ本当に未成年なんだろ。まさか中学生じゃねェだろうな」「……いえ、それはさすがに」「出て行くってんなら身元と行き先と連絡先を明かせ。何も知られたくねえってんなら18歳になるまで待て。その時は悟浄が何と言おうと容赦なく追い出してやる」「……三蔵」「今おまえがいなくなったら、悟浄は間違いなくおまえを捜す。死に物狂いでな。地獄の果てまで追いかけられたくなかったら、ここでおとなしくアイツに飼われておくんだな」「……あの、ちょっと待って下さい。……どうして悟浄が、僕を追いかけるんですか?」三蔵の視線が、八戒を貫きます。睨まれている訳ではないのに、まるで心の奥の奥まで探られるような、居心地の悪い視線。やがて目線を外した三蔵の表情が、何処となく切なげに見えて、八戒は戸惑います。「……報われねェモンだな」「……あの、三蔵」「……いいか。おまえが悟浄に感じたことは、間違ってない」淡々と、三蔵は言葉を続けます。「あいつは本気で情をかけられる。俺にも悟空にも、おまえにもな。……底無しってのは、そういうことだ」「……」口を噤み、考え込む八戒。……わかってる。悟浄は本気だった。でも。そんな八戒を見遣りながら、三蔵は煙草の煙を深く吸い込みます。胸の底に落ちてゆくのは、八戒にも、悟浄にも告げることのない言葉。……八戒。おまえ、何でアイツの前に現れたんだ。
続く!
19.(2024/02/29)
悟浄総モテ現パロ、八戒。……別に、本気で悟浄とどうこうなろうと思っていた訳じゃない。僕の人生とは何の関係もない人を好きになって、ほんの少しの間、恋愛ごっこが出来ればそれで良かった。現実は、何一つ変わっていない。僕は僕の人生から逃げられない。それなのに、ただあの人に「逃げるか」と言われただけで、この場所がもう、夢の中ではなくなってしまった。悟浄のせいで。
「……おまえさ、何か俺のこと避けてねェ?」廊下で無駄に壁ドンとかしてくる悟浄。見た目の良さと色気が相俟って普通にカッコイイんですが、八戒はそんな態度をおくびにも出しません。「……ガキに口説く体勢取らないで下さいよ」「オトナ押し倒したヤツが何言ってンのよ」「24なんて、大して大人じゃないでしょう?」「そーだけど、おまえが言うな」真っ向から視線を交わすふたり。双方引きません。「……どいて下さい。洗濯物取り込まないと」「ンなモン後でいーだろ」「ダメです。日が落ちる前にやらないと」「わあーったわあーった!すぐ済むから聞け!」口の減らない八戒にいちいち対抗してたらキリがないので、悟浄が一喝します。「……悪かったな」「……え?」「別におまえが気まずい思いする必要ねえっつーか。今まで通り三蔵の手伝いしたり悟空とダチやりながら、ここにいりゃあいーんだよ」悟浄の言葉に、肩の力が抜けていく八戒。「……バカだバカだとは思ってましたけど……」「んだとコラ」「……ちゃんと、嬉しかったです。……ありがとうございました」頭を下げた八戒を、見下ろす悟浄。「……丁重にフるなよ」「……すみません」「……いーからもう、頭上げろ」顔を上げ、悟浄を見て微笑む八戒。「……三蔵が」「ん?」「……三蔵が、すごく心配してますよ。貴方のこと」「……それは俺と三蔵のコトだから、おまえには関係なくね?」「……」「おまえ今妬いた?」「……悟浄、」「ま、とにかく」悟浄の指先が眼鏡のつるに伸びてきて、思わず硬直する八戒。されるがまま、眼鏡を外されます。「っ、何」視界に陰が落ちて、はっとします。八戒の目元を柔らかく覆う、悟浄の、熱い掌。「気にすんな。……忘れろ」低く落ちてきた、悟浄の言葉。手を外され、丁寧にかけ直されたレンズに写る悟浄は、いつも通り、軽い笑みさえ浮かべていて。頭をさらっと撫でて離れていく悟浄に、胸が詰まります。こんなやりとりはこれで最後だと確信しているのに、動くことが出来ない。悟浄がいなくなった後、不思議な恥ずかしさと突き上げられる思いのまま、零す八戒。「……忘れてほしくないなら、そう言えばいいのに……」だって、貴方が僕を好きになる理由なんてない。そうでしょう?
続く!
20.(2024/03/06)
悟浄総モテ現パロ、53。三蔵の部屋のドアがノックされ、悟浄が入ってきます。「……何だ」「んー、夜這い?」「……」ベッドの上で本を読んでいた三蔵。眼鏡を外して、本と一緒にサイドボードに置きます。身を寄せてきた悟浄に、顔を顰める三蔵。「……クセェな」「……あー、ちょっと香水キツかったんだよな。ま、シャワーは浴びてきたから」「……何で女の流れで来るんだよ」「オンナの流れでおまえに来たくなンのよ」「……サイアクだな」悪態を吐きながらも三蔵がさほど動じてないのは、こういうことがはじめてじゃないからです。会話の間にもしれっと三蔵の身体をベッドに倒し、匂いの移った服をさっさと脱ぎ捨てます。顎に指を添えてキザったらしくキスしようとしてきた悟浄を、見上げる三蔵。「悟浄」意思のこもった声に呼ばれて、三蔵を見返します。「俺に夢なんか見るな。俺はおまえが思ってるほどキレイじゃねェし、……筋の通ったご立派な人間でもねえんだよ」唐突にも思える三蔵の文脈を、正しく把握する悟浄。何かを心得たように、そっと笑います。「……自分じゃそう思うのかもしんねェけどよ。俺が見てきた中じゃ、おめーが一番キレーだぜ?」身体をゆっくりと返されて、うつぶせにされる三蔵。後頭部の辺りで、悟浄が言います。「……誰とも比べらんねえくらい」別に嬉しかねェよ。思っても、言葉にはなりません。悟浄の声の切実な響きに、気付いてしまうから。悟浄の指先が、背後から、三蔵の首筋をなぞります。「……首輪、つけてンだろ?……見してよ」全身の力が抜けていくのを、感じる三蔵。それが自分の意思なのかどうかも、三蔵にはよくわかりません。身体が重なり、首を振り向かされて、舌をぐちゃぐちゃに絡めるキス。視界に落ちてくる紅い髪を目に焼き付けて、三蔵は瞼を閉じます。……俺には、血の色になんか見えない。
趣味全開でお送りしてます。三蔵が悟浄を「悟浄」と呼ぶ場面が好きです。続く!

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