貴方の海に満ちる月


21.(2024/03/22)
悟浄総モテ現パロ、悟浄と三蔵と八戒で宅飲み。「いや、コイツこう見えて意外とグイグイ来ンのよ。元々俺一人で住んでたんだけど、いつの間にか自分のウチみてーにふんぞり返って、俺に飯作らせたりするしよ。フツーそーゆーのって押しかけ女房なんじゃねェの?」「別にいーだろうが」「いや、いーけどよ。悟空のこと呼んだのも三蔵だしな」「いーだろうが」「いーけどよ」「……流れに身を任せすぎじゃないですか?」例によって普通に焼酎とか飲みながら、ツッコミ入れる八戒。八戒の隣に悟浄は座っていて、肩に腕とか回してきます。”忘れろ”からこっち、明らかにスキンシップ過多です。ちょっと嬉しいからやめてほしいんだけど、フったのは自分だし、悟浄に対して罪悪感があるので、八戒はされるがまま。因みにあのくだりの後2回ヌきました。悟浄のことを想いながら。「……オチてんじゃねェか。今度は何ヤったんだ」ふたりの様子を眺め、面白くもなさそうに、三蔵が言います。「……いや?こう見えてオチてねえのよ。全然。」な。と意地の悪い笑みを向けてくる悟浄を見返しつつも、何とも返せない八戒。ここで悟空が帰宅。「あっ!!おまえら何やってんだよ!?」「……声がデケェんだよ」「何ってナニよ」「ごじょー俺も!!」八戒の反対側、悟浄の隣まで来て頭を差し出してくる悟空に、悟浄はきょとんとします。「……何コレ」「撫でていーよ。悟浄が満足するまで」絶句する悟浄。「……おっまえそーゆーのやめろっつってんだろ!?」「……赤くなってんじゃん」「おめーが妙なコト言うから酒が回ったんだよ!!」「妙なコトって何だよ!?」「つか何処で覚えてくンだこのエロ猿!!」「……八戒が言ってた。思いっきり甘えて懐に入っちゃえばいいって。」「……オイ八戒」悟浄に軽く睨まれる八戒。三蔵もこっち見てます。急な矛先にたじろぐ八戒。「……あー……言ったかもしれませんね……」間違いなく言った。まさかここまで才能があるとは思わなかったが。「てゆーか悟浄フられたんだろ?あんましつこくすんなよ」「…してねェよ。ただのスキンシップ」「八戒は悟浄に優しくされると困るんだよ。俺は困んねーから、悟浄の好きにしていーよ」「だからおまえなあッ!!」カチン。と来てしまったことに気付いて、いやカチンと来ちゃダメだろう、と己にツッコミを入れる八戒。悟空の言う通りだ、怒る資格なんか無い。悟浄と悟空の言い合いを横目に、手に持っていたグラスをそっと置きます。……もう、いいか。何かちょっと、疲れちゃったし。思い切って目を瞑り、悟浄の肩にコテンと頭を預ける八戒。ダメ押しでグリグリと懐きます。三蔵たちの反応は見たくなかったので、頑なに目は閉じたまま。少しの間の後で、肩に回っていた手が、背中をぽんぽん、と優しく叩きます。そうしてもう一度八戒を抱き寄せ、頭を自分の方に抱き込む悟浄。誰も何も言わない時間の中で、悟浄の温もりだけを感じています。「……ま、美人の寝顔肴にすンのもオツだろ?」笑み混じりに、そんなことを言ってみせる悟浄。水を向けられた三蔵が、ふーっと煙を吐きます。「……おまえが隠してっから見えねェよ」「……そーね」否定もせずに笑っている悟浄に、このままの状態を敢行することを決める八戒。悟空がおもむろに立ち上がり、冷蔵庫から缶ビールを出してきます。八戒の手前にあるグラスと軽く乾杯して、ぐいっと呷る悟空。「……おまえ、潰れても部屋運んでやんねーからな」「そしたら八戒と雑魚寝するからいい」「いや八戒は連れてくから」「何でだよ!?」寝たふり状態の八戒と、悟浄と三蔵と悟空の何てことない会話で、更けていく夜。
続く〜。この後いつの間にかガチ寝した八戒と案の定潰れた悟空、そしてこっちも何故か潰れた三蔵を、最後まで酔いきれなかった悟浄が全員ベッドまで運んであげます。
まあちょっと色々考えたんですけども、ぼちぼち終わりを意識しながら書いていこうかなあと。ホントはもうちょっとエピソード入れて盛り上げた方が後の展開が効くんだけど、残念ながら思いつかない。それに内容的にもあんまり長い時間かけて書くような話じゃないんだ。書いてる途中で自分の考えが変わっちゃうと用意してた展開が使えなくなって、展開変えちゃうと伏線が回収出来なくなるっていう現象が、長期連載になるとある訳です。アレ結構苦しいので回避したい。読んで下さってる方ありがとうございます、今しばらくお付き合い下さい〜。
22.(2024/03/25)
悟浄総モテ現パロ、ある日の昼下がり。三蔵の事務所に、悟浄が現れます。「よ。」ちょっと目を見開く三蔵。「……おまえがこっちに顔出すの珍しいな」「んー、そーね」自分のデスクに座ったまま動かない三蔵と、応接セットを素通りして三蔵の正面に立つ悟浄。からかうように悟浄が言います。「……茶ァとか出ねえの?」「自販機なら外だぞ。八戒なら今日はいねえ」「知ってる。あいつ今風呂のカビ取ってっから」「……」ポケットに手を突っ込んだまま三蔵を見下ろす悟浄と、そんな悟浄を見遣りながら、ゆったりと煙草に火をつける三蔵。「冷やかしに来た訳じゃねェんだろ。……何だ」「……」自分から来ておきながら、言い淀む悟浄。迷っている訳ではなく、躊躇っている沈黙。その躊躇いの長さと悟浄の纏う雰囲気に、さぞろくでもない用件なんだろうとアタリをつけます。少なくとも、三蔵にとっては。「……おまえに、頼み、あンだけど」
続く。
23.(2024/03/29)
悟浄総モテ現パロ、4人で夕食後。一息ついた辺りで、悟浄が立ち上がります。「……ごじょー出かけんの?」何かを察知した悟空が声をかけます。「んー、散歩」軽く応じて、向かいに座っていた三蔵に目を遣る悟浄。「三蔵。……車出すけど、おまえも来る?」三蔵の返事に、ちょっと間が空きます。「……何日かかるんだ」「いや?今日は一晩」「……支度するから待ってろ」「先乗っとくわ」「ああ」
ふたりが出て行き、残された、悟空と八戒。「……何かあったのかな、あいつら」問い掛けるよりは呟きに近い、悟空のトーン。八戒と視線が合うと、言葉を継ぎます。「悟浄結構あんだよ、散歩っつって一人でふらっと出てって、何日も帰ってこねぇの。長えと一週間とか」「……そうなんですね」「八戒連れて来てからはずっと家いたもんな。三蔵何も言わねーから、多分俺が来る前からそうだったんだと思うけど。……三蔵に声かけるとこ、はじめて見た」「……」いつになく淡々と話す悟空と、言葉少なに耳を傾ける八戒。悟空が笑います。「な、八戒。俺の部屋でオールしねえ?」「……徹夜でゲームですか?」「どーせあいつら、朝まで帰ってこねえじゃん」「……そうですね」
続く。悟浄ならバイクかなあ〜と思いつつ運転席の悟浄というのはカッコイイので車で。まあ多分バイクも持ってて、三蔵乗っけるから車にしたのかもしれない。因みに思いつかないと言ってた奴が無事思いついたのでエピソード足すことにしました。フリに当たる回が続いてますけども、次から色々書けるかなあと。連載毎回面白くするって難しいなあ。
24.(2024/04/04)
悟浄総モテ現パロ、悟浄と三蔵の車内。ナビも無く走り出した悟浄の隣で、おとなしく揺られる三蔵。「……何か久しぶりだな、こーゆーの」「……ああ」「どっか行きてーとこある?」「……何でデートみてえになってんだ」「デートだろ?」呆れを隠さずに溜め息を吐く三蔵。「こんな時間に行きてェとこも何もねえだろうが」「ま、そーね」「どうせ決まってんだろ。……今更オトす必要もねェんだから、好きにしろ」「……」近頃の慣れた仕草で、悟浄は三蔵に手を伸ばします。掌が頭に触れた途端、ビクッと肩を揺らす三蔵。過剰な反応に思わず止まった悟浄の手を、そのままやんわりと払います。決まりの悪そうな三蔵。「……おまえ、よく悟空や八戒の頭平気で撫でられるな」窓の外に視線を遣りながら、三蔵が零します。あー、と合点がいく悟浄。「……なるほどな。ワリ。もうしねえ」さらりと言う悟浄。おまえがやめなきゃなんねえこと他に幾らでもあんだろうが、と思いつつも、何故かそれを口に出せない三蔵。
そして着いた先は。「……何で海なんだよ」「んー?」夜の潮風に吹かれて歩きながら、身を竦ませる三蔵。同じく身を竦ませて、ポケットに手を突っ込んだ悟浄が笑います。「……おまえ最近すーげえ眉間に皺寄ってっからよ。風にでも当たった方がいーんじゃねえかと思って」「……誰のせいだと思ってやがる」「……やっぱ俺のせい?」笑いかける悟浄。三蔵は軽い溜め息。「……テメェが面倒事押し付けるからだろ」「……でも押し付けられてくれんじゃん?」「ふざけんじゃねえ殺すぞ」「ははっ。おまえそれ親父さんにも言ってやったら?」「……帰ってきたらな」「そーしろそーしろ」上機嫌にも見えて、何処か捉えどころのない、悟浄の笑顔。立ち止まって、黒い海を眺めます。「……おまえ、いっつもここに来てたのか」何処に連れて行かれるかと思えば。「んー、いや、適当にふらっと。あとはまあ女のトコとか、昔のダチとか?」「……ろくでもねえオトモダチか」「そー言うなって。フツーに付き合う分にはそんな悪い奴じゃねェぜ?」「……切れねえのか」「……まあ、色々世話にもなってるしな」遠くをみつめる悟浄。「……ここ来てたのは、もっとガキん時。行くトコねえなって時にとりあえず来て、ぼーっと海眺めてよ。身体はすげえ寒ィんだけど、何時間でもこうしてられるような気がして、……まあそのうち、腹減ってきたりションベンしたくなったりすっから、それでしまいなんだけどよ」低く呟くような悟浄の言葉を、黙って聴いている三蔵。「……ま、ほら。おまえにもさ、やめらんねえもんあンだろ?煙草とか」三蔵と視線を合わせる悟浄。「……強くありてェな、とかさ」悟浄にみつめられながら、三蔵は考えます。どうしてこの男に見透かされても嫌じゃないのか。どうして、赦されているような気がしてしまうのかを。「気にすんなよ、三蔵」真っ直ぐに投げられる、悟浄の言葉。「おまえにはさ、やっぱ胸張っといてほしいワケよ。でねーと俺が迷うじゃん?」言葉も出ない三蔵。色々な想いが湧く中で、結局口を突いて出たのは、率直な。「……勝手すぎんだろ……」「……ワリ。でも、本心だわ」「……」「……頼むよ」懇願しているようにすら聞こえる、悟浄の言葉。悟浄の正面に、三蔵が立ちます。悟浄の髪を引き寄せ、目を閉じて、唇を重ねる三蔵。悟浄も応えるように瞼を下ろして、片手で三蔵の頬を支え、唇で唇を愛撫します。「……コレ、返事?」如何にも色男めいた笑みを向けてくる悟浄に、三蔵が言います。「……返事しなきゃなんねえのはテメエの方だろうが」不遜な物言いに、ふっと笑う悟浄。「……はァい」どうしようもねえ馬鹿だ。俺も、おまえも。前に立って歩き出した悟浄の後ろ姿を、三蔵は眺めます。風に煽られて舞う悟浄の髪は夜に紛れて深く、血の色だろうが何だろうが、区別がつかない。このどろどろした感情も、紛れもない憧憬も、宥められるのはただ一人なのに。……今この瞬間だってそうだ。おまえの美しさをこの目で見たと言ったって、きっとおまえは、信じない。
続く!
悟浄八戒なら川の側とか夕方の買い物帰り、悟浄悟空なら夜のコンビニ帰り、悟浄三蔵はどんな情景がいいかなあっていうのをずっと考えてて、いっそ最後までベッドの上を貫くのもアリかもという発想を経由しつつ、思い切って夜の海にしてみました。シチュがバシッと決まると会話の温度感も見えて内容も大体決まる。
25.(2024/04/12)
悟浄総モテ現パロ、悟空と八戒。「うーん、悟浄ってやっぱり、『ガキだから』っていうスタンスは崩さないと思うんですよ。普通にいってもまず無理なんで、ちょっと頭使わないと」悟空の部屋。ゲーム休憩で一緒にポテチとか食ってます。パリポリ。「え、色仕掛けってこと?」「……どうですかね……向き不向きがありますから」「……確かに、八戒って何かちょっとエロイもんな」「……そうですか?」「うん。悟浄好きそう。」「……」真実味のある悟空の悟浄評を、つい味わっちゃう八戒。「悟浄って、俺のこと全然そーゆー目で見てなかったからさ。意識してほしくて色々やったけど、何か全部空回りしてるっつーか」「……そもそも論なんですけど。僕はともかく、悟空的には、三蔵からの略奪愛はアリなんですか?」うっ、と言葉に詰まる悟空。テーブルに突っ伏して、しばらく唸った末。「………………ワンチャン?」「……ワンチャンですか」「……正直、付き合うとかは無理だろーなって、思ってるよ。俺だって悟浄のこと好きだし、ずっと好きだったけど……」少し、言葉を選ぶ素振りを見せる悟空。「……でも、三蔵の方が、悟浄のこと好きだと思うし」「三蔵の気持ちはともかく、悟浄本人が三蔵より悟空のこと好きになっちゃう可能性は全然ありますよね?」しれっと言い放つ八戒。笑おうとして失敗したような顔で、固まる悟空。「……やっぱ、スゲェよな。八戒って。」「……それ褒めてないですよね?」「うん、まあ、褒めてはねぇんだけどさ。でもちょっとソンケーかも。気持ちが強えっつーか」ほどけたように笑って、後ろ手に身体を預ける悟空。「……俺さ、八戒ここ来てくれて良かったなと思ってて。家で一緒にゲーム出来る友だちとかいなかったからさ」「……ちょっと意外です」「んー、友だち全然いない訳じゃねえんだけど。俺けっこー、何だろ、馴染むの苦手でさ。三蔵とか悟浄の前だと普通なんだけど」「……」「あと八戒の前でも普通、っていうか、何か落ち着く。八戒が大人だからかもしんないけど」「……全然大人じゃないですよ。僕なんて」「……あー、俺が八戒のこと好きだからってだけかも」「……タラシですよね、悟空って」「ええ〜?悟浄じゃねェんだからさ」ちょっと嫌そうに言う悟空に、笑う八戒。そんな八戒をみつめながら、悟空が言います。「……八戒、このままここにいればいいのに」不意に、悟空の口調が大人びたものに変わります。「……俺らに言えない事情とか色々あって、カンタンじゃないのかもしんないけどさ。三蔵も悟浄もあんなんだけど一応大人なんだし、俺もあと二年くらいはこの家いるし。……あっ、八戒、俺と一緒に住まね!?」唐突な提案に目を見開く八戒。「……悟空と僕でですか?」「俺、三蔵たちにいっぱい迷惑かけちゃったから自立したくてさ。大学卒業したら一人暮らししようと思ってたんだけど、八戒いてくれたらすげえ楽しそうじゃん」「……悟空と僕でですか?」「そ!……あ、でも八戒その頃どうしてるかまだわかんないか。つーか俺も就職決まんないとだけど。……あ〜就活したくねえ〜」「……」「……八戒?」黙りこくってしまった八戒の顔を、覗き込む悟空。ふわふわした口調で、八戒が返します。「……すみません、びっくりしちゃって。……ありがとうございます」へらっと笑う悟空。「何だよそれ」
そして。結局朝を待たず先に落ちてしまった悟空を、見下ろす八戒。幼くて無防備な寝顔を、穏やかな気持ちでみつめます。……この胸の痛みこそが救済なのだと知ったら、貴方は、どんな顔をするだろう。「……悟空になら、責められてもいいかな」
続く。悟浄モテ要素薄めだけどここは書いておきたかった。悟浄も言ってましたが八戒はオチてません。全然。
26.(2024/04/26)
悟浄総モテ現パロ、53。
……おまえに惹かれる。善悪も正否も無く。おまえの魂を誰にも渡したくない。……口が裂けても言わねェが。
薄暗い車内。助手席から身を乗り出し、悟浄の唇を塞ぐ三蔵。一度は応えたものの、キスの深くなる気配に、悟浄が三蔵の肩をつかんで離します。「……こんなトコでカーセクするつもりかよ。だったらホテル行こーぜ」心外だという態度を隠しもせずに、三蔵が悟浄を見返します。「脱がなきゃいーだろ」「……おまえそーゆーの好きだったっけ?」至近距離でみつめ合うふたり。悟浄の手を取り、自分の頬にあてがう三蔵。仕草とは裏腹に、悟浄を見下げて、笑います。「……人のカラダ散々作り替えておいて、イイ気なもんだな」手を重ねたまま、頬を擦り寄せる三蔵。「……八戒にも、一つ一つ、ドコで気持ち良くなれるか教えてやったのか?一番柔らかい場所がドコにあるか気付かせてやったのか」「……三蔵」「受け入れてやって裸にして曝け出させて、泣き喚いたらブチ込んで宥めて、カラダもココロも抵抗力奪って、あとはテメェが好きに喰うだけだな。大したご趣味じゃねェか」察した悟浄の顔色が曇ります。「……三蔵。もういいって」「おまえが抱きたい時にいつでも抱けるカラダだ。……おまえは何人でも同じことが出来るんだろうが、コッチはおまえに触れられただけでたまらねェよ」壮絶な色気と共に、熱い溜め息を吐いてみせる三蔵。「……おまえに救われた羊を哀れに思う気持ちが少しでもあるなら、精々全身全霊で慰めることだな」三蔵の胸倉をつかむ悟浄。眉一つ動かさない三蔵を突き放して、呟きます。「……バカ野郎」三蔵に構うことなく、エンジンをかける悟浄。三蔵がフンと鼻で笑います。軽蔑と愛おしさの入り混じったような笑み。「……勃ってんじゃねェか、クソ河童」「……るせェよ」それきり無言のまま、車は走ります。
……ホテルのベッドに俺の背を沈めて、悟浄は、俺の頬を撫でた。「……苦しまねェようにシてやっから」自嘲の滲む表情で、悟浄が自覚的にそれを言ったのが解った。ぞっとするほどの慈悲の掌。まるでその指の隙間から零れ落ちるのを、許さないとでも言うように。悟浄は何一つ惜しまず俺に与えた。易々と性感を引き出し、喉奥まで迎え入れて飲み下し、自ら受け入れ方を覚えさせたソコを掲げ、躊躇無く舐めた。腹立たしいほど器用な指と、慰撫を繰り返す唇。キスをすることも忘れるほどの献身ぶりに、俺は背後に身を捩って、名前を呼んだ。悟浄は痛みを堪えるように眉を顰め、身を乗り出して舌を絡めた。足りないものを埋める為に深く求めようとすると、悟浄は不意に俺の頭をシーツに押し付けた。押し当てられた感覚に、最後に残っていたものを手放して目を閉じる。言葉も無く悟浄は俺を犯し、奥にアテられた俺は切ない射精に震えた。頭に触れた手が疑いようのない優しさで俺を撫で、内側が全て赦されたように甘くとける。重なる手に胸が締め付けられ、俺はこの男に注がれる為の器になったことを理解した。悟浄の重みと体温に包まれ、頭を抱え込まれて、舌を交わす。今度のキスは終わらなかった。喘ぎは飲み込まれ、容赦なく貫かれる恐怖と、決して救われることのない幸福感が迫り上がる。時折混じる悟浄の呻きと、痛いほど俺を掴む悟浄の手。為す術もなく墜ちてゆくのを感じながら、俺は悟浄の行き着く先をねだった。何度も。……おまえに縫い止められるのが死ぬほどイイなんて、全く馬鹿げた話だ。
続く。
27.(2024/05/01)
悟浄総モテ現パロ、早朝の悟空の部屋。悟空の隣で眠っていた八戒が、目を覚まします。寝ぼけ眼で上半身を起こし、時計を確認する八戒。悟空はまだすやすやと寝ています。……5時過ぎ。そういえば、悟空は今日は大学に行くんだろうか。タフな人だから、オール明けで1限とか普通にやりそうだ。起こしてあげた方がいいかな。あと1時間くらいしたら、訊いてみようかな。……悟浄と三蔵は、きっとまだ帰ってこない。カーテンの端の隙間から暗がりに差し込む、浅い光。食べかけのポテチ。隣で眠る悟空の息遣い。空調の効いた、快適な部屋。そうしてもう一度、八戒は悟空を見下ろします。……わかりあえないとわかっていても、僕は、貴方が好きだ。僕は弱いから、きっとこれからも、恨み、呪い、嘆きながら生きていく。悟空はこれから、どんな人生を歩むんだろう。変わらないでいてほしいだなんて、残酷なことは思わない。けれどいつか、替えのきかない貴方の魂が奪われそうになった時に、貴方は僕の言葉を、思い出してくれるだろうか。「……くしゅっ」悟空のくしゃみで、我に返る八戒。毛布を引っ張りだしてかけてやって、微笑みます。「……なんちゃって。」
続く。
28.(2024/05/03)
悟浄総モテ現パロ、悟浄と三蔵。三蔵がぼんやりと目を覚ますと、傍らで半身を起こした悟浄が、煙草を吸っています。目が合うと、ふっと笑って三蔵の髪を撫でる悟浄。そんな悟浄を見上げながら、三蔵は思います。……こーゆー奴だ、コイツは。
「……何も出来ねェのが嫌なんだよ。……ただ、そんだけ」案外あっさりと、悟浄が言います。午前中の、鋭く容赦の無い日の光を浴びながら、帰路に就く車中。悟浄の横顔を、やはりある種の憧憬を秘めながら、三蔵はみつめます。「……おめーの言った通りだよ。別におまえじゃなくても、誰でも助けた。……おまえが特別だったからじゃねえんだよ」「……」「……だから、……おまえが気にすることなんか何もねェから」……結局それか。続いた言葉に、ちょっと嘆息する三蔵。前方を見据えながら、口を開きます。「……女家に入れたこともねェくせに、何で俺を住まわせたんだ」短い沈黙。「……おまえが一番強引だったんだよ」「フン。流されただけか」「勝手に自分のベッド運び込んでくるようなヤツどうやって追い出すんだよ」「追い出せなかったら囲って子飼いか」「っ、だから飼ってねえっつの!つかおまえ自分のウチあんだろーが!気が済んだら出てけよ!」「あァ!?」はっとしたように口を噤む悟浄。眉間に皺を寄せた三蔵も、ワンテンポ遅れて、はっとしたように真顔になります。「……八戒と二人で暮らすのか」「……何でそーなンのよ……」脱力したように、肩を落とす悟浄。キラキラと輝きながら、景色は流れます。溜め息を吐き、困惑のまま、ぼやく悟浄。「……馬鹿じゃねーの、おまえ……」力無い悟浄の言葉を、胸に落とす三蔵。皮膚の表面も内側も、悟浄に刻み込まれた震えるような感覚が、生々しく残っています。「……だから、お互い様だっつってんだろうが」今この瞬間悟浄が意図を持って触れれば、簡単に堕ちてゆけるのにと思いながら。
そうして帰宅したふたり。先に車から降りて家に入り、自分の部屋に向かう三蔵。薄暗い廊下に、人影を認めます。三蔵の部屋の扉の前に立っていたのは。「……お帰り、三蔵」
続く!
29.(2024/06/08)
悟浄総モテ現パロ、悟浄と悟空。夕食後の居間で、向かい合うふたり。部屋に引き揚げようとした悟浄を引き留めたのは悟空です。神妙な顔つきの悟空と、悟空が切り出すのを待っている悟浄。「……ごじょー」「んー?」「俺は?」悟空の言いたいことを察して、ちょっとバツの悪そうな顔をする悟浄。「……あー、ワリ。三蔵とサシで話してェことあってよ」「朝帰りだったじゃん」「……そーね」「ヤってたんだろ?」「……ソレ聞いてどーすんのよ」「……別に……」物言いたげながら口を噤む悟空を、じっとみつめる悟浄。「……わぁーったよ」悟浄が立ち上がり、悟空に向けて、何かを放って寄越します。反射で受け取った悟空の手の中で、チャリ、と音を鳴らしたのは、車のキー。「……一晩やっからよ。俺のことオトしてみ」至って真面目な顔つきの悟浄と、呆気に取られながら、そんな悟浄を見上げる悟空。脳が言葉の意味を理解したところで、悟空が吠えます。「……はああァ!?何だよそれっっ!」「……ノんねえなら、もうこの話終わりだろ」「っ」「ヤんの?ヤんねぇーの?」あくまで軽い口調で、真っ直ぐに悟空を見据える、悟浄の視線。「……ヤる。」軽く睨みつつの悟空の返事に、口端を上げる悟浄なのでした。
続く〜。
30.(2024/06/14)
悟浄総モテ現パロ、車に乗り込む悟浄と悟空。運転席が悟空、悟浄が助手席です。「おまえ運転いつぶりよ?」「……免許取ったばっかの頃、悟浄に付き合ってもらったことあったじゃん。アレが最後」「マジかよ。安全運転な」「行き先ってラブホでもいーの?」顔色も変えず、煙草に火をつける悟浄。「いーけど?」「……」ちょっと拗ねたような顔で、視線を逸らす悟空。「……いーよ。俺色仕掛けとか向いてねえし」「……ヤりたくてたまんねェお年頃だろ?カッコつけて後悔しても知んねーぞ」「……悟浄ってさ、そーゆーの、全部わかってて言ってんだろ?」キッと強い視線で、悟浄を見返す悟空。「思い出作ってやるから、これでもう諦めろってことだろ?……そりゃ、悟浄からしたら俺の気持ちなんて迷惑かもしんねェけど、俺ずっと好きで、そんなすぐ割り切れねェしっ、……悟浄が思ってるほど、俺の気持ち簡単じゃねえよっ!」泣きが入りそうになって、慌ててまた視線を逸らす悟空。手を伸ばしかけて、やめる悟浄。あー、と低く漏らします。「……悪かったよ」流れる沈黙。ハンドルに伏せて、息を吐く悟空。「……ごじょーがさんぞーとヤるからいけないんじゃん……」「……ンなこと言われてもな」顔を上げた悟空の表情は、少し落ち着いています。「……三蔵見た目イイから昔からモテるし、悟浄面食いだからアレだけどさ。……三蔵が悟浄のこと好きになるって、俺、あんま思ってなかったんだよな」「……そーね。俺もフシギ」「……」ハンドルにもたれながら、悟浄をみつめる悟空。「……今夜は、俺と一緒にいてくれんだろ?」悟浄に向けて、笑いかけます。「レンアイじゃなくてもいーからさ。……俺だけの悟浄に戻ってよ」
続く〜。58派の方しばしお待ちを。

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