業の深い生き方をしている。実の姉と結ばれ、罪のない人々を何人も殺した。彼女の亡骸を葬ることも叶わず、死を以て償うことも叶わず、僕は新しい名を与えられ、おめおめと今日も生きている。
そして僕は、夕食を作っている。紅い眼と髪の同居人の為に。自分にまたこんな時間が訪れるなんて、手当たり次第に殺していた時には想像も出来なかった。僕は料理をするのが好きだった。彼女が喜んでくれたからだ。
「今夜は出掛けないんですか?」
「昨日勝ち過ぎたからな。今日はやめとく」
「そんなものですか」
ジンクスがあんのよ、と言って悟浄はスープを啜った。彼の頬を覆う髪は、はじめて会った時よりもぐっと短い。
「おまえは向いてねえと思うぜ、俺が思うに」
行儀の悪いことに、悟浄は箸の先で僕を指した。
「賭け事なら僕、そこそこ強いですよ?」
「強すぎるし、負けず嫌いだろ」
「……よく分かるんですね、僕のこと」
悟浄は嫌そうな顔をした。まあ、わざと言ったんだけど。
僕たちの同居生活は、悟浄が誘ってくれたことで始まったものだ。「行くとこねえならとりあえず来れば?」と彼らしい文句で、僕はそれを快く受けた。勿論悟浄が一言出て行けと言えば、ここは僕のいるべき場所ではなくなる。けれど僕はもう、悟浄が決してそれを口にしないことを知っていた。
「……俺は別にどっちでもいいんだけどよ。三蔵サマの世話になっといた方が色々と至れり尽くせりなんじゃねえの」
「……やっぱりご迷惑でしたか」
「俺はどっちでもいいって。おまえがいてくれりゃあ、おさんどんしてもらえるし?」
嫌だったくせに。
環境を整えられるのも、待たれるのも、構われるのも嫌だったくせに。
「悟浄」
「……何」
「その髪、僕のせいですか?」
悟浄は、燃え上がるような目で僕を睨んだ。
「……ごちそうさん」
皿の上に残っていたソテーを口に入れて、悟浄は席を立った。
食事を終える時、悟浄は必ず、そう言った。