お題配布元:LazyMirranda

ハローマイハニー、ハローマイハニー


 乳首を舌で舐め上げると、八戒は胸を突き出すように身をくねらせた。最初からそうだったが、自分をエロく見せることに余念がない。演技じみていても、そこにこいつなりの健気さを感じる。雨の夜に俺を求めるのは、多分偶然じゃないんだろう。
 八戒は何処か上の空で俺を受け止めている。何も考えられなくなるくらい没頭させてやれたらいいんだろうが、こいつの築いている壁は0.02ミリよりも厚い。時折身勝手な欲望に振れてしまう腰を、どんな風に眺めているんだろうか。
 救いたいとか、そんな大それたことは考えてない。ただ八戒を抱きたい。出来れば雨じゃなくても。

「……悟浄は、優しいですよね。すごく」
 ある夜、八戒が言った。ある夜というのは八戒が俺の手の中でイって、俺も八戒の中でイった後、勿論雨の降る夜で、八戒はいつものように指先一つ動かすのもだるそうに身体を投げ出していた。
「あー、よく言われるけど。やっぱ相手を感じさせんのが男の甲斐性っつーの?」
「……それもありますけど、そうじゃなくて」
 俺はベッドに腰掛けてライターを擦る。
 八戒の発言には自虐的な響きが滲み出ていた。そもそも俺とのセックス自体、八戒にとっては自傷行為の一環なんだと思う。それを寂しいと取るかラッキーと取るかは俺の感じ方一つだ。俺はもう八戒と繋がる気持ち良さを知ってしまって、どの道知る前には戻れない。
 優しいからしてる訳じゃないとか。お互いイイんだからいいんじゃねえの、とか。フォローの仕方は色々浮かんだけど、どれもこいつの悲劇に拍車をかけるだけのような気がして。
 背後に横たわる八戒を振り返る。目線は天井にぼんやりと向けられていて、視界に俺が認識されているかどうかも怪しかったが。
「雨の日はつらいけど、晴れの日はつらくないんだよな」
「……まあ、そうです、ね」
「だったら雨の日は俺に抱かれてりゃいいんじゃねえの」
 そっか、俺そういう風に思ってたんだ。言葉にしてみると自分でも腑に落ちて、俺はゆったりと煙を吐き出した。
 八戒は困惑顔で俺を見ている。


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