お題配布元:nancy,i love you.

キスしないで、きたない


 久保ちゃんは俺にご奉仕するのが好きみたいで、前戯の手間を惜しまない。性器を銜えられ、後ろに指を食わされながら、俺は脚の間に陣取る久保ちゃんに視線を下げた。
「も、いーって……挿れようぜ」
 ずるりと口内から抜き出されて、眼鏡を取った状態の久保ちゃんと目が合う。まだ痛いんじゃない、と言う久保ちゃんの指は、抜き差しを続けていた。
 俺は枕元に置いていたコンドームを手に取った。身体を起こして、久保ちゃんの勃起した性器にするすると嵌めてやる。俺の手が触れた時、そこはピクンと跳ねた。最初は、正直、複雑だった。
 俺は久保ちゃんのことが好きだ。それは間違いない。こんな風になるなんて、思ってもみなかったけど。
「っ、あー……」
 奥まで一気に詰め込まれる。挿入に至るまでは馬鹿丁寧なくせに、いざ挿れてからは遠慮の欠片もない。落ち着く間も与えられずに突かれて、俺は為す術もなく喘いだ。
 久保ちゃんと、こうしてる。そう思うのは好きだった。久保ちゃんも俺のことを好きで、久保ちゃんは俺を欲しがってる。俺と久保ちゃんは繋がってる。
「……おまえらしくないね」
 俺の脚を好き放題広げながら、久保ちゃんが言う。
「……何が?」
「嫌なら嫌って言いな?」
 極軽い口調で、微笑んでさえいるような顔で、久保ちゃんの指が俺の唇を撫でた。
「……んなんじゃねーって」
 つか、嫌って言ったらやめんのかよ。
 馬鹿じゃねーの。
 舌先で指を舐めてやると、久保ちゃんの唇が降りてきた。体重をかけられて、俺は喉奥で呻いた。こういう時のキスは本当に溺れそうで、比喩じゃなく呼吸困難で死にそうになる。久保ちゃんはそのまま俺を抱き込んで腰を振った。こいつ、俺のこと殺したいのかな。
 こんなことでひとつになれるんだったら、いくらでもするのに。
「……時任」
「……ん?」
「……時任」
「……ん」
 顔や首筋や鎖骨や胸に、久保ちゃんのキスが落ちてくる。下半身が絆されて、中にいる久保ちゃんを締めつけた。俺は目を閉じてシーツをつかんだ。
 俺は、久保ちゃんに、何処まで、許せばいい?


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