【音霊】 お題配布元:OSG

001.誰も知らない話し声


 端的に言うと、これは媚薬ネタだ。
「……ヌけば?」
 正面に立つ八戒に、アドバイスとも言えないような提案をしてみる。ベッドに腰掛けた俺を見下ろし、八戒は熱い溜め息を吐いた。
「今お風呂で抜いてきました。3回」
「……あ、そーなの?」
「少し溜めてからとかも試してみたんですけど、全然」
「……どーすんの?」
「……どうしましょうね……」
 八戒は悲嘆に暮れている。顔面を紅潮させ、股間をビンビンに勃てながら。
 俺は吸うのを忘れていた煙草を灰皿に押しつけて、立ち上がった。
「悟浄?」
 素早く腰を抱き寄せる。逃げられる前にとっとと下半身をくつろげてやって、左手を中に突っ込んだ。
「ちょっ、悟浄!なにっ」
「ま、気にすんな」
「気にしますって!」
 珍しく声を荒らげてはいるものの、急所を押さえられているせいか身体の抵抗は控えめだ。下着越しに、そろりと手を動かす。熱く硬く濡れた感触。八戒はほとんど泣きそうな声を出した。
「悟浄!」
「自分じゃどうしようもねーんだろ? この状態で今から女の店とか行くの、おまえ」
「……それは」
「ぶっちゃけ他の奴に触られるくらいなら、俺の方がマシだろ」
 八戒は二の句が継げないという顔をして、黙った。微妙なところを突いた自覚は俺にもあって、八戒の頭を軽く引き寄せる。
 どーしても嫌って言うならやめっけど、どーするよ。
 耳元でお伺いをたててみる。あくまで深刻にならないトーンで。
 八戒は観念したように、俺の胸元をつかむと、肩に顔を埋めた。
「……お願いします」
「ん」

 ……心配すんな。俺しか知らねえから。
 行為の最中、俺が言った言葉に、八戒はじっと俺の目を見て、頷いた。


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