時任の声は、いつだって耳に心地いい。
『――もしもし久保ちゃん? 俺だけど』
「うん」
『もうバイト終わったのか?』
「ん。さっき帰ってきたとこ」
『じゃあさあ、俺今駅前にいるんだけど出てこねえ? ほら、この前言ってたモスの新メニューまだ食ってねえじゃん』
「……いいけど……夕飯ファストフードでいいの?」
『いーの! 今晩は絶対カレー以外のモン食うからな!』
「……そういや三日目だっけ。まだ一食分残ってるんだけどね」
『だああっ、もう! カレーばっか飽きたっつの!』
「いいじゃないカレー。日持ちするし、何にでもかけられるし」
『カレーの話はいーんだよ。俺が来いっつってんだから、さっさと来い』
「……行くよ、勿論」
『じゃっ、決まりな!』
「……ね、時任?」
『ん? 何だよ久保ちゃん』
「…………………………ごめん、何でもない」
『……何だそりゃ』
「今からそっち行くから」
『ん。じゃ、いつものゲーセンとこいるからな』
「うん。じゃあまた後で」
時任が切るのを待ってから、俺も通話を切った。それからティッシュを数枚引き出して、右手と股間を拭い、ジッパーを引き上げた。